アスベスト調査とは
健康被害や空気汚染などの危険を及ぼすアスベストは、今では使用が全面的に禁止されていますが、過去には「高機能でありながら安価」「加工しやすい」といった特性が人気を集め、数多くの建材の成分として活用されてきました。
その時代に建てられた建物には今もアスベストが含まれたままとなっていることが少なくありませんが、アスベストが使用されているかどうかを目視や築年数などで確認することはできません。建物を解体するとき、住宅を売りに出すとき、あるいは賃貸に出そうと考えるときなどには、アスベストが使用されているかどうかを確認する必要に迫られます。
建物に使われた建材の品番からアスベスト使用の有無を確認する方法もありますが、そもそも品番を確認できないケースもありますし、品番がわかってもアスベストの含有状況までは確認できないということも。そこで行うのが「アスベスト調査」です。
アスベスト調査は、建物のなかでアスベストが使われている可能性がある箇所の建材をサンプルとして採取し、専門の調査機関で成分分析して、アスベストが含まれているかどうかを確認するもので、最も確実にアスベストの使用状況を確認することができます。
アスベスト調査にかかる費用の相場
アスベスト調査は、専門の調査機関に依頼して成分分析を行う必要があり、それには費用がかかります。
気になる費用の相場は、平均的な成分分析費用が3万円から5万円程度です。成分分析を行う検査サンプル数が多くなればそれだけ費用が増えますし、必要となる分析方法や報告書の詳細度合いによっても費用は変わります。
また、成分分析の前の事前調査として、図面調査や現地調査を行う場合には、この事前調査にも費用が発生することになります。アスベスト調査の実施を検討する場合は、まずは調査機関に問い合わせて見積もりを依頼しましょう。
サンプル採取を依頼する場合は別費用
アスベスト調査に際しては、アスベストが含まれている可能性のある建材を採取してサンプルとし、成分分析を行います。このサンプル採取は、依頼者が行って調査機関に提出する場合と、調査機関がサンプル採取から成分分析まで行う場合があります。
後者の、調査機関がサンプル採取も含めて行うケースは、調査機関の担当者が調査対象の建物を訪問し、成分分析を行う検査サンプルを採取します。調査を依頼する側としては、サンプルを採取するために建材を切り出すのは緊張を伴う作業であり、これも含めて専門の担当者に依頼できるのは安心です。
しかし、サンプル採取を依頼する場合には別費用を請求される機関が多く、それだけ調査費用がかさんでしまう点に注意が必要です。費用の内訳としては、担当者の交通費や出張費、採取費や機材搬入費といったもので、「1サンプルあたり○円」といった費用設定を行っているケースもあれば、「Xサンプルまで△円」としているケースもあります。
アスベスト調査費用の内訳例
アスベスト調査を請け負う調査機関は、具体的にどのような調査費用を設定しているのでしょうか。調査費用の内訳例(すべて税抜き)をいくつかご紹介します。
[A社]内訳例
・事前調査(図面調査):1.5万円〜(調査を実施する範囲により変動)
・事前調査(現場調査):2.5万円〜(調査を実施する範囲により変動)
・分析調査(定性分析のみ):1サンプルあたり3万円
・分析調査(定性分析+定量分析):1サンプルあたり4.5万円
・サンプル採取費(交通費・出張費を含む):作業員1名につき3.5万円
・調査報告書の作成:5万円
[B社]内訳例
・事前調査(図面調査・現場調査)
・分析調査(1サンプルの定性分析・定量分析)
・調査報告書の作成
・サンプル採取費(交通費・出張費を含む)
上記すべて込みで、一式8.5万円
[C社]内訳例
・事前調査(図面調査・現場調査):個別見積もり
・分析調査(定性分析のみ):1サンプルあたり1.5万円〜2.5万円(調査報告書の作成費用を含む)
・分析調査(定性分析+定量分析):1サンプルあたり3万円〜4万円(調査報告書の作成費用を含む)
・サンプル採取のための担当者出張費:1名につき1日1.8万円(1日8時間まで対応可能、交通費を含まない)
・サンプル採取費用:1サンプルあたり6000円
調査機関によって対応できる分析内容は異なり、調査から報告までにかかる日数にも違いがあり、こうしたことが費用の違いにも反映されてきます。こうした点をふまえ、見積もりを依頼するといいでしょう。