飛散しないアスベストもある! 飛散性アスベストと非飛散性アスベストの違いと異なる処理方法について

アスベスト博士
素人にはわかりづらいアスベストをやさしく説明してくれる博士。

30秒でわかるまとめ

アスベストは空気中に飛散しやすいものほど健康被害などのリスクが高く、その飛散リスクに応じて3つのレベルに分類されている。飛散リスクの高いレベル1・2は「飛散性アスベスト」、飛散リスクが最も低いレベル3は「非飛散性アスベスト」と呼ばれている。アスベストを含む建物の解体工事を行う際は、レベルに応じて決められた届け出や準備、アスベストの処理を行う必要がある。

アスベスト(石綿)は、2006年に使用が全面禁止されるまで3,000種類ともいわれる膨大な工業用途の製品に使われており、その8割から9割が建材といわれています。一言で建材といってもこれも幅広く、成形板やスレート屋根、吹き付け材など、多様な形態の建材に含まれていたのです。

そして、どのような建材に含まれどのように使われているかによって、建材中のアスベストの飛散のしやすさが異なります。飛散しやすいアスベストほど危険性が高くなるため、この飛散リスクを3つのレベルに分類し、レベルごとのアスベストの取り扱いルールを定めています。

飛散性アスベストとは

今日はアスベストのレベルについてお話しましょう。

はい!宜しくお願いします!たしかレベルは3つありましたね。

そのとおりです。その3つのレベルのなかで、飛散リスクが最も高いのがレベル1で、その危険性に照らして十分に配慮した取り扱いが義務として課されています。次いで飛散リスクが高いのがレベル2で、レベル1と合わせて「飛散性アスベスト」と呼ばれています。

レベル1に該当する建材ってどんなものがあるんですか?

レベル1に該当する建材としては、吹き付け材として天井や壁などに吹き付けられたアスベストなどがあります。これらは解体工事の際などにアスベストの繊維が飛散しやすく、工事作業の担当者はもちろん、建物の所有者や近隣住民の方に危険な影響を及ぼしやすいと考えられます。

なるほど…。そうした重大な飛散リスクの被害を防ぐためにも、慎重に対策をしてから施工する必要がありますね。

はい。アスベストの扱いには入念な対策を施すことが定められています。

レベル2にはどんなものがありますか?やっぱり身近なものなんでしょうか。

レベル2に該当する建材としては、断熱材に使われていたり保温材として配管を保護したりしている部分に使われたアスベストがあります。これらも密度が軽いうえにアスベストの含有量も多い傾向があります。

へえ~!こということは、建材が崩れるとアスベストの大量飛散を招くってことですね。

そのとおりなのですが、レベル2の場合は、建材が使われた配管ごと取り外すといった対応で処分することも可能なんですよ。そのように処理できればアスベストの飛散リスクを下げることができるんです。そのため、レベル1より多少柔軟な対応が可能になっています。

非飛散性アスベストとは

3つのレベル中で飛散リスクが最も低いのがレベル3ってことですね?

はい。レベル3のアスベストは「非飛散性アスベスト」と呼ばれ、固い板状の建材や床材として使われた吸音材、タイルなどが該当します。

飛散しにくいといっても、どんな感じなのか想像がつきづらいですね。

レベル3のアスベストは、通常の環境で普通に使用している限りはアスベストが飛散するということは考えにくいとされているんです。そのため、そうした環境で過ごしていてもすぐに健康被害に直結するというものではありません。

普通に住んでいる分にはそこまで不安にならなくていいんですね。でも、そうした建物も老朽化すれば、建材が傷んでアスベストが飛散してしまいそうです。

そのとおりです。さらに、老朽化によって改修が必要になったり、いつかは解体することもあるでしょう。そうした工事でアスベストの使用箇所に圧力がかかると、その部分の建材が破損してそこからアスベストが飛散してしまいかねません。

そうならないためにも、解体工事や改修工事、再塗装作業などを行うときは、入念な準備と必要な手順をふむことが必須とされているんですね。

なお、上記の3つのレベルに該当するアスベスト含有建材以外にも、アスベストを含むシールやパッキン類などもありますが、これらは「レベル外(適用外)と呼ばれています。レベル外とはいえ、適当に扱っていいというものではありません。

飛散性アスベストと非飛散性アスベストの処理方法について

博士、アスベストを含む建物を解体したら、処理はどうすればいいんでしょう?

アスベストを含む建物の解体工事などを行うにあたっては、いくつか手順を踏む必要があります。まずは、該当の建物について事前調査を行い、アスベストの使用状況を明確にしたうえで、そのレベルに応じて適切な届け出や準備をすることが義務づけられています。

建物の事前調査も必要になるんですね。

はい。また同様に、レベルに合わせて行う必要があるのがアスベストの処理です。
廃棄物の処理について定めた法律では、飛散性アスベストは「特別管理産業廃棄物」として、非飛散性アスベストは「石綿含有産業廃棄物」として扱われます。アスベストを含む建材などを廃棄する際には、それぞれの区分に従って処理を進めることになるんです。

飛散性のアスベストだと、集めるのも難しそうです。

たしかに飛散性アスベストは、収集作業も困難です。固化して廃棄するといった方法もとれません。そのため「溶融」という手法でアスベストを無害化してアスベストの危険を除外したうえで、リサイクルか埋め立て処分のかたちで処理するのが安全であるとされています。

非飛散性アスベストも建材や状態によってはさまざまですし、飛散する可能性も捨てきれませんよね。

そうですね。だからこそ、きちんとしたプロにお任せしないと危険なんです。また、飛散性が比較的高いと考えられる場合は飛散性アスベストに準じて廃棄されますが、飛散の可能性が低いと考えられれば固化して産業廃棄物として処理されます。

アスベストは、かつては一般の住宅から学校などの公共施設まで数多くの建築物に使われていたんですよね。建物が老朽化するなどして空気中に飛散してしまったアスベストがあったとしても、それを目視で確認するのは非常に難しいですし、やっぱり気づかないうちに人が吸い込んでしまうことにつながりますよね。

髪の毛の5000分の1ともいわれる細さの天然の鉱物繊維ですから、目に見えないも同然です。アスベストの危険性というのは、アスベストが空気中を漂うことから始まります。つまり、アスベストの飛散リスクと密接な関係があるということはおわかりいただけましたか?

はい。安全を守るには、アスベストの危険性を正しく理解し、飛散リスクの高さに応じて適切に扱うことが重要ですね。


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