サンタさん必見? 煙突にもアスベストが使用されていた! 煙突アスベストについて紹介します。

アスベスト博士
素人にはわかりづらいアスベストをやさしく説明してくれる博士。

30秒でわかるまとめ

アスベストはかつては煙突の断熱材にも使われていた。その煙突が現存・稼働していることは少なくないが、そうした煙突の一部からアスベストが飛散していたと報じられると、「煙突アスベスト」として大きな注目を集めた。煙突アスベストも、断熱材の使われ方や劣化度合いによって危険性が異なる。つまり、すべての煙突に危険があるというわけではないが、アスベストの危険性を外から判別するのは難しい。

耐熱性、耐久性、吸音性などのさまざまな機能を建物にもたらしていたアスベスト(石綿)は、かつては一般の住宅や商業ビル、自治体の施設や学校といった公共施設に至るまで、実に幅広い建物で使われてきました。それらの建物本体ばかりでなく、煙突や配管にも使われていたのです。

そうした建物や煙突は、今も現存・稼働しているものが少なくありません。そのような煙突の一部から、アスベストが飛散していたことが判明した——。そうしたニュースが報じられ、大きな注目を集めることになったのが「煙突アスベスト」です。

煙突アスベストとは?

博士、煙突って夢があっていいですよね~。毎年クリスマスになるとサンタが入ってくるかな?って、ついつい眺めてしまいます。

たしかにサンタといえば煙突ですね。煙突といえば、公衆浴場にあるイメージが強いかもしれませんが、ボイラーや焼却炉をもつ工場やビル、病院などの大型施設には、煙突が設置されているのはご存知でしたか?意外かもしれませんが、集合住宅の浴室やオフィスビルには、排熱のための煙突が埋設されていたこともあるんですよ。

え~っ!集合住宅の浴室やオフィスビルの煙突にサンタが入ってくるってことですか…?!

それはどうなんでしょうね…。こうした煙突の役目について少しお話しましょうか。煙突は、ボイラーや焼却炉などから出る煙(燃焼ガス)を大気中に放出してくれます。人に対し、煙が悪影響を及ぼさないようにするために大切な働きをしてくれています。

そんな大切な働きをしてくれていたのは知りませんでした。煙突って、高温じゃないですか、それなのになかなか壊れたりしませんよね。それってなにか理由があるんですか?

そうですね、煙自体、高温であるだけでなく、燃料の種類によってさまざまな成分が含まれていて、煙突という構造物はそれらに耐える力をもたなければいけませんね。なぜそれができるのかといいますと、煙突の断熱性や耐薬品性を高めるために煙突の内部にアスベストを含む断熱材が使われていたからなんです。

ええっ!?煙突にもアスベストですか?たしかに機能面では、耐火性もあるし適しているとは思いますが…。

アスベストを含む断熱材は、1960年代から1980年代にかけて広く普及していましたね。この時代までに設置された煙突の多くにはアスベスト含有断熱材が使われていたんです。アスベストの使用が規制を受けるようになると、断熱材はアスベストを使わないものに切り替えられていき、今ではアスベストを含むものは使われていません。ですが、その一方で、過去にアスベストを使って設置された煙突は今も残っていることが珍しくありません。

なるほど~…。煙突の断熱材が老化するなどして破損したら、そこからアスベストの飛散が可能になってしまいますよね…。

はい。そして実際に、アスベストの飛散している煙突があったことが明らかになったんです。これが「煙突アスベスト」として注目を集めたものです。

煙突アスベストが注目された背景

煙突アスベストが注目されるに至った大きなきっかけは、マスメディアの報道です。

どんな報道があったんですか?

アスベスト被害者の支援を行う東京労働安全衛生センターの担当者と、中皮腫・じん肺・アスベストセンターの医師が共同で行った調査によると、1960年代後半から1970年前半にかけて建設された煙突の一部で、その内部に使われていた断熱材からアスベストの飛散が検出されたんです。2012年9月、NHKがこの調査結果を報じると、アスベストの健康被害、とりわけ煙突から生じるアスベストについて人々の関心が高まることになりました。

だいぶ古い煙突に含まれていたんですね。それなのに、わかったのがごく最近のことじゃないですか。

はい。また、2017年7月には、文部科学省が「全国の公立小・中・高校などの煙突のうち、アスベストが飛散する恐れのある煙突」を発表しました。これは文部科学省が2016年10月に調査したもので、全国の公立学校のうち227校に問題のある煙突が存在していたということです。その多くは、給食設備や暖房のためのボイラーの煙突に使用された断熱材にアスベストが含まれていました。

そんなところにまでアスベストが…。本当に身近なところで使われていたのがよくわかりますね。

煙突アスベストの危険性とは

先ほどお話したアスベストの飛散が検出された調査では、多くの断熱材が劣化していたそうです。なかにははがれ落ちてしまっているものもあったといいます。そうしたニュースにふれ、近所の古い煙突を見て不安に感じることもあるでしょう。

…家の近くにも古い煙突があるので、ちょっと不安に感じますね。

しかし、古い煙突だからすなわち危険というわけでもありませんよ。先の調査でも、「今回の結果ではすぐに健康影響が出るとは言えず、あまり心配しすぎることはない」と担当医師がコメントしています。ただし、もちろん危険が皆無ということでもありません。まず留意しておきたいのは、問題となっているのは、アスベストが含まれた断熱材を使用している煙突ということです。

博士、その断熱材を使用している煙突は全国にどれくらい存在しているんでしょう?

先の報道によれば、該当する断熱材を使った煙突は一部だけでも5万本ほど現存すると推定されています。

そんなに多いんですか?!

使われている断熱材を外から判別したりその劣化の度合いを確認したりするのは困難ですが、昔の住宅に使われていたような小規模の煙突では、密度が高いセメント系の材質が使われているうえに断熱材も内側に張るタイプではなく、アスベストは飛散しにくいと考えられています。ですので、そんなに不安がることはありませんよ。

はい。同じ煙突アスベストでも、使われている断熱材、その使われ方や劣化度合いなどによって、アスベストの危険性は異なりますよね?

そのとおりです。一言で「煙突」といっても、すべての煙突に危険があるわけではないんです。

新規につくられる建築物ではアスベストは使われていないけれど、過去にアスベストが使われていた建築物は今も残っているものが少なくないんですね。今日の煙突のお話にはびっくりしました。

煙突自体の老朽化はそれほど進んでいないように見えても、その中で使われている断熱材は劣化します。そこからアスベストが飛散する危険があるということが調査で判明しましたが、先ほどお話した調査でアスベストの飛散が検出されたのは主に煙突口の部分なんです。

なるほど~!だから、すぐに健康被害が心配されるということではない、とされたのはそういうことなんですね。

そのとおりです。必要なことは、煙突アスベストの存在をただ恐れるのではなく、アスベストの危険を正しく理解すること、そして、どのように対処すればいいかを知ることでしょう。


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