あなたのお家は大丈夫ですか? 住宅とアスベストの関係について学んでおこう

アスベスト博士
素人にはわかりづらいアスベストをやさしく説明してくれる博士。

30秒でわかるまとめ

アスベストは、かつては多様な工業製品に使われていた。その大半は建材で、一般的な住宅ではアスベスト成形板や吹き付けアスベストなどのかたちで、外壁や建物内部の断熱材・吸音材などさまざまな箇所に使用されてきた。もし自宅でアスベストが使われているとしても、すぐに被害が及ぶとは限らない。ただし、吹き付けアスベストの場合はアスベストが空気中に飛散しやすいため、何らかの対策が必要となる。

熱や酸・アルカリ、摩擦など、さまざまなものに対する耐性が強くて丈夫、それでいて加工しやすく安価であったアスベスト(石綿)は、かつては3,000種類ともいわれる多様な工業製品に使われていました。そして、その8割から9割は建材といわれるほど、建設の場面でも多く使われてきたのです。

工業製品と聞くと普通に生活しているなかではあまり関係がないように思うかもしれませんが、一般の住宅も例外ではありません。自分が長年住んでいたわが家に実はアスベストが使われていたとしても、決して珍しいことではないのです。

アスベストが建物でどのように使用されているか?

今日、研究室でアスベストの今について話していたんです。アスベストは人体に及ぼす健康被害が知られるようになってから、2006年には使用が全面禁止されたんですよね。
それ以降の建材や建物にはアスベストは使われていないってことでいいんでしょうか?

みんなでアスベストについて知るのはとてもいいことですね。そうですね、2006年以降に建設された建物にはアスベストを含む建材は使われていないと考えられます。しかしそれ以前には、アスベストを含む建材は一般住宅から商業ビル、学校や自治体といった公共施設まで多種多様な建物に幅広く使用されていたんですよ。

たとえばどんなことですか?学校の天井に使われていたのは昔あったみたいですね。

たとえば、アスベストを含む保温材は、石油関連施設で使われることが多かったほか、建物に備えられたボイラーや空調設備のダクトといったところの継ぎ目などに多く使われていました。

継ぎ目ですか?意外なところに使われていたんですね。

建物のさまざまな箇所に吹き付けて使う吹き付け材は、アスベストとセメント、水を混ぜて吹き付けた吹き付けアスベストや、ロックウールという材料を使った吹き付けロックウールにアスベストを混ぜたものが普及していたんです。これらは、機械室や空調室、ボイラー室などの断熱材や吸音材、耐火被覆目的などで用いられていたんですよ。

そうか!アスベストは耐久性や耐火性がとても強いんですよね。

そのとおりです。アスベストを混合して平らな板や波状の板に加工したアスベスト成形板は、建物の外壁に耐久性や耐火性をもたせることができる建材として使用された実績が多数あったんです。

住宅でアスベスト使用の可能性が高い部分について

ロックウールもアスベストのようにさまざまなところで使われていたんですか?

はい。吹付アスベストや、アスベストを含んだ吹き付けロックウール、アスベスト成形板などは、一般的な住宅でもさまざまなところに使用されていました。

吹き付けアスベストは、一般的にどこに使われていたんですか?私が知っているのはさっきお話した学校の天井くらいです。

吹き付けアスベストの使用箇所の例を挙げると、建物に断熱性や吸音性をもたせるために建物の天井や屋根裏、壁などに吹き付けられていたケース、耐火被膜用途で柱や梁に吹き付けられていたケースなどがありますね。

では、吹き付けロックウールはどうですか?

吹き付けロックウールは、アスベストの使用規制が強くなっていくにつれてその代替製品として使われることが多くなったものですので、使用箇所は吹き付けアスベストとほぼ同じです。

へえ~!それだとより見分けがつけられないような気がします…。

ひとつ安心できることは、アスベストの使用が全面的に禁止されるまでの間は吹き付けロックウールにアスベストを混ぜて使われるケースも多くありましたが、現在使われている吹き付けロックウールにはアスベストは含まれていないということでしょう。

あっ!ストレート屋根にも使われているんでしたね!

そうですね、よく覚えていましたね。耐水性や防火性にすぐれたアスベスト成形板は、建物の屋根や外壁に広く使用されていたんです。近年人気を集めているスレート屋根も、かつてはアスベストが含まれていたものが主流でした。

触らなければ危険が少ないアスベスト

もし自宅でアスベストが使われているとしたら、その住宅からすぐに離れなければアスベストの被害が及ぶんですか?

そういうわけでもありませんよ。

アスベストの被害は、非常に微細な繊維であるアスベストが空気中に飛散して、そのアスベストを人が吸い込むことで起こるんですよね。空気中に飛び散ってしまったアスベストを人が目で確認するのは困難ですし、自分が気をつけてアスベストを吸い込まないようにするのは実際には難しいんじゃないかと思います。

反対にいえば、建材にアスベストが含まれていても、それが空気中に飛散しなければ人が吸い込むことはない、ということです。であれば、人体に健康被害が及ぶこともないというわけです。

なるほど~、飛散さえ起こさなければいいってことですね。

そうなりますね。アスベスト含有建材のなかでも、アスベスト成形板はそのなかのアスベストが飛散しにくいとされています。劣化して板が割れたり、成形板を工事で取り壊したりするようなことがなければ、板のなかのアスベストが飛散するようなことは考えづらいでしょう。

でも、吹き付けアスベストの場合はどうですか?イメージ的にも形状的にもすぐに取れてしまいそうな感じがします…。

吹き付けアスベストは、アスベストが外部にむき出しの構造であるうえに劣化によって容易にはがれやすくなるため、そのなかのアスベストが大気中に飛散しやすい性質をもっています。ですから、もし触れやすいところに吹付アスベストが使われているようなことがあれば、何らかの対策が必要です。

わかりました。まずは触れやすいところに吹き付けアスベストがないかどうか検査する必要があるってことですよね。アスベストは多機能だし、比較的安価ですぐれた建材製品だったので、一般住宅も数多くアスベストが使用された建材が存在しているみたいですし、今でもその住宅の多くはそのまま残っていますよね…。危険性がないかどうか、心配になってしまいます…。

昔建てた住宅に人が住んでいることも、少ないことではないでしょう。アスベストは確かに危険を及ぼすものですが、必要以上に恐れる必要はありません。アスベストが使われているからといってむやみに取り壊してしまえば、かえってアスベストの危険性を高めることにつながってしまいます。

たとえばですが、瓦のようにセメントで封じ込められていれば、飛散しないから問題ないってことですよね。だから無理に壊さないこと。

そのとおりですね。アスベストの危険性を正しく理解し、アスベストを含む建物に対して適切な対応をとれば、今後も安心して暮らすことができるんですよ。


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