アスベストはいつから規制されていた? 法規制の移り変わりと経緯を徹底解説!

アスベスト博士
素人にはわかりづらいアスベストをやさしく説明してくれる博士。

30秒でわかるまとめ

  • アスベストの規制が始まったのは1970年代半ば
  • その後もだんだんと規制は厳しくなっていき、現在ではほぼ全てのアスベスト含有建材は製造・使用禁止されている
  • 今後は特に、処理に関する面において更なる厳重化が予測される

皆さんもご存知の通り、発がん性などの非常に恐ろしい性質を持つ物質、アスベスト。しかし、このことが周知され始めたのは比較的最近のことであり、1970~80年代以前は全国各地のさまざまな建造物などへと大量の使用が為されていました。

もちろんアスベストは現在、研究用などのごく限られた理由を除いて製造・使用が法律によって規制されていますが、これも一気に全ての種類のアスベストが規制されたわけではなく、少しずつ段階を踏んで規制がなされたのです。

このような、アスベストがどのくらいの時期に規制されたのか・どのような段階を踏んで法規制が為されたのかを知ることは、今後いろいろな建造物をチェックする際にきっと役立つことでしょう。

ということで以下では、アスベストの法規制がどのように変遷してきたのかをご紹介していきます。

日本初のアスベスト規制、そして吹付アスベストの全面規制

博士、アスベストはいつから厳しく規制されるようになったんですか?

時系列に沿ってご説明しましょう。時は遡って1971年のこと。アスベストの健康被害などがまことしやかに囁かれだした頃、日本では初めてのアスベスト規制となる「特定化学物質等障害予防規則」の改正が行われました。

規制自体は結構昔からされていたんですね。

そうですね。この特定化学物質等障害予防規則、略して特化則の改正によってアスベストが管理物質として指定され、公にアスベストが有害な物質と認められました。しかし、この頃はまだ、製造工場に対する局所排気装置の設置、作業環境測定の実施などを義務付けたのみで、実際に使用することを制限する法律は存在しませんでした。

えっ!使用はできたっていうことですよね?!

そのとおりです。その状況が変化したのは、少し時が経た1975年のこと。ここで特化則が大幅な改定をされ、アスベスト含有率5%以上の吹付アスベスト使用が禁止されました。ですが、現在の基準である含有率0.1%以下からすると、なんと50倍もの濃度のアスベストがこの時点ではまだ許容されており、高濃度なアスベストが使用されていた状況はほぼ変わらなかったようですね。

50倍もの濃度だなんて…。それじゃあ健康被害を防ぐのはむずかしいですよね…。

アスベスト規制の厳重化、角閃岩系アスベストの輸入禁止

さらに規制されるのはいつ頃のことだったんですか?

更なるアスベストの有害性が判明してきたことにより、1980年前後にはようやく業界団体の一斉自主規制が行われて、吹付アスベストの濃度抑制や無石綿化などが進められました。

う~ん、有害だとわかっているのになかなか厳しい規制がされないのはもどかしいです。

続いてその後も、1987年のアスベスト含有建造物の耐火構造指定除外(建築基準法第2条第7号に基づく耐火構造の構造方法を指定する告示)、1989年のアスベスト特定粉塵指定(大気汚染防止法)などにより、アスベストの規制はどんどん強化されていきました。

1989年でようやく今の規制に近い状態になったんですね。

ええ。そして1995年、アスベストの規制は大きなターニングポイントを迎えました。ようやく労働安全衛生法が施工され、吹付アスベストなどに主に用いられてきたクロシドライト(青石綿)とアモサイト(茶石綿)の製造・輸入・使用が全面禁止されたのです。

特化則の吹付アスベストの基準値が含有率5%から1%へと引き下げられたのはこのときですか?

そうですね、正解です!実質的にそれまで用いられてきたほとんどのアスベスト含有建材が使用出来なくなりました。

アスベスト規制法の単独制定、更なる規制の厳重化

さらに、なおアスベスト規制の波が留まることはありませんでした。1997年にはアスベスト含有建造物の解体を行う際の規定がより厳しくなり、事前届出や作業基準の遵守が求められるようになりました。また、その7年後である2004年には労働安全衛生法の改正により、ついにアスベスト含有率が1%を超える建材、接着材などの製造・輸入・使用が全面禁止されることに。

7年もかかったんですね。

規制を厳しくするのはやはり時間がかかってしまうものです。加えて2005年には、届出、特別教育などについて定めた解体等の作業に際する規制、建造物所有者・管理者に対する規制などを盛り込んだ、アスベスト単独の名前を冠する石綿障害予防規則が制定され、特化則に代わる形となりました。

もっと早く厳しく規制できていれば、被害も少なくできたのかなと考えてしまいます…。

そうですね。その後も、労働安全衛生法・石綿障害予防規則の更なる改正によってアスベスト含有率の基準が1%から0.1%へと引き下げられたり、建造物へのアスベスト使用そのものが全面禁止されたりするなど、年々アスベストへの規制は厳重化されていきました。

今後もアスベストへの対策はより重視されていきそうですね。

おわりに

今回はアスベストの法規制に関する変遷や経緯をご説明しました。アスベストの持つ有害性が明らかになっていくにつれて、規制がどんどんと厳重化されたのがお分かり頂けたと思います。

はい、よくわかりました!

しかし現在ではまだ、アスベスト含有建造物の処理を義務付けるような法律は制定されていません。そのため、古い建造物の中には未だ大量のアスベストが含まれているようなケースもあります。

そうですよね。もし怪しそうな建造物を見つけたら、その建造物の築年数をチェックしてある程度のアタリを付けつつ、専門家に依頼して調査を行ってもらうのがベターかもしれませんね!


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