危険がいっぱい! 可能性はゼロじゃない! アスベストは公共施設や天井に使用されていることもあるんです。

アスベスト博士
素人にはわかりづらいアスベストをやさしく説明してくれる博士。

30秒でわかるまとめ

かつては多種多様な建材にアスベストが含まれていた。国がアスベスト含有建材データベースを公表しているが、完全に把握するのは難しい。アスベストは住宅やビルだけでなく、学校や自治体の施設といった公共施設にも使われていた。アスベスト含有建材の形状もさまざまで、使用場所も天井や壁などの目に見えるところから、断熱材や吸音材などの見えない下地部分まで多様であった。

安価で多機能であったアスベスト(石綿)は、高度成長期には主流の建材として、住宅や高層ビル、公共施設など、さまざまな建物に多用されてきました。ところが、そんなアスベストは、健康や環境に及ぼす被害が甚大であることがわかり、今では使用が禁止されています。

加えて、今建っている建物にアスベストが使われていると判明すれば、アスベストの除去や建物の解体などが必要となります。とはいえ、非常に多くの建物に使われていたばかりか、建物のなかで使われていた場所も、天井や壁、梁など、挙げればきりがないほどです。その危険性をどのように見極めればいいのでしょうか。

アスベストを含む建材の種類

今日は、アスベストを含む建材の種類についてお話しましょう。と、その前に、まずはアスベストの健康被害についておさらいしてみましょうか。

アスベストは非常に繊維が細かいので、万が一吸い込んでしまったら非常に危険なんですよね。

はい。万一吸い込んでしまうと、簡単に肺の奥まで到達するんです。分解も排出もされにくいので、体のなかに蓄積され続けるアスベストは、呼吸困難などの被害を引き起こし、最終的には肺がんや中皮腫といった重篤な疾患につながってしまうのです。

アスベストは危険性が高いのに、生活のあらゆる場面で使われてきたんですよね。それも3,000種ともいわれているとか…。

そうですね。アスベストの用途を大きく分けると、「石綿工業製品」と「建材製品」に分けられますが、その8割以上は建材製品といわれています。

建材製品にはどんな種類があるんでしょうか?

たとえば、天井や壁などの内装に用いる石膏板やセメント板などの板材、不燃材として工場や倉庫などでも使われるようなスレートボード、旧音声や断熱性にすぐれているため、一般的な建物の天井に多く使われる岩綿吸音板に使われるなど、枚挙にいとまがありません。

アスベストの種類もいろいろなものがあったんでしょうか?

ええ。アスベストの種類自体も建材メーカーによって異なります。アスベストが含まれていた建材の種類は数え切れないほど…。経済産業省が国土交通省と連携して、建材メーカーが過去に製造した「アスベストを含む建材のデータベース」を構築、建設事業者や解体事業者に向けて公開するなどしていますが、これらを完全に把握し、完全に除去を終えるまでには、まだまだ長い道のりが続くものとされています。

アスベストが含まれている場所について

アスベストが含まれた建材は、民間の住宅や企業の高層ビル、工場や倉庫だけでなく、小学校や中学校、自治体の施設などといった公共施設まで、実に数多くの場所で使われていたんですね。

そうですね。また、建造物のなかでアスベストを含む建材が使用されていた場所も、多様です。たとえば、天井や壁、軒天井などの内装材、屋根や外壁などの外装材として、直接目に見え手に触れられるところで使われているケースもあれば、不燃材や吸音材、断熱材として、天井や壁の下地などの見えないところで使われているケースもあります。

見えないところで使われていると聞くと不安になりますね…。

鉄骨住宅では耐火被覆材として使われていたり、ビルや工場の煙突の中に断熱材として用いられたり、空調設備に設置されているダクトの継ぎ目部分にまで用いられることもあります。形態も、セメントなどの材料と混ぜられて板状として成形されて使われたり、接着剤などと混ぜてさまざまな用途に合わせて保湿剤として加工されたり、結合材と混合した吹き付け建材として吹き付けられたりと、使われる場所や用途によってさまざまです。

アスベストの有無を見分ける方法

アスベストは、経年劣化によって表面が綿のように変化してやわらかくなるって聞いたことがあるんですが、本当ですか?

本当です。たとえばですが、梁などに使われていたアスベストが劣化して毛羽立ったりたれさがったりしているのは、見た目にもわかりやすいでしょう。国土交通省の「目で見るアスベスト建材」というガイドブックでは、さまざまな建材が使われている部位や、実際に使われている場面の写真が掲載されているので非常に参考になりますよ。

アスベストが含まれていた建材も場所も多種多様で、その見た目もさまざま、なかには目に見えないところで使われているケースもあるとのことですが、アスベストが含まれているかどうかを外側から目視で判別するのは非常に困難なのは、それが理由ということですよね。

はい。そのとおりです。吹き付け材として使われていたアスベストは、比較的見た目にもわかりやすいともいわれますが、アスベスト含有の吹き付け材を使ったうえからほかの建材を使っているケースもあり、やはり完全な判別は難しいと言わざるを得ません。

判別しようとして近づいて長期間凝視したり必要以上にさわったりするのも、健康被害につながりかねないですし、とても危険な行為ですよね。

そうですね、とても危険な行為です。たとえばですが、住んでいる家でアスベストが含まれている建材が使われているかを確認しようと思ったら、まずはアスベストが使われていることが多い外壁や屋根の建材を確認し、品番を調べて製造メーカーに問い合わせるという方法があります。

品番がわかればいいんですね!それなら自分でも調べられそうです。

また、建材の品番を特定できない場合や吹き付け材としての使用が考えられる場合には、専門的な成分分析が必要となりますよ。

アスベストは危険性の高い物質なので、その建物を直接使用している人だけでなく、近隣の方にも影響を及ぼすこともありますよね。

はい。もし使われているとわかった場合には、アスベストの除去や建物の解体といった対策を講じる必要があります。

築年数の経過した住宅に住んでいる方や、古い建物のなかで働いている方などは、「もしかしたらこの建物にもアスベストが使われているのではないか……」と不安に思うこともあると思います。その場合はどうしたらいいでしょうか?

もし気になるところがあれば自己判断で済ませようとせず、プロに調査を依頼するといった選択肢も検討してみるのが安心です。特に、建物の解体を考えているような場合には、築年数などの面からアスベストが使われている可能性が考えられますね。ですので、解体工事の前にきちんと調査することが必須になりますので、しっかり覚えておきましょう。


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