そのマスク、本当に大丈夫?アスベスト除去に使うマスクの種類やその差を徹底調査!

アスベスト博士
素人にはわかりづらいアスベストをやさしく説明してくれる博士。

30秒でわかるまとめ

  • 工事によって発生するアスベストの種類・度合いで使うマスクも変わる
  • マスクの防塵性はレベル1~4で区分けされている
  • 厚生労働省のHPなどを参照し、正しい法規制をチェックすること
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ひとたび吸入すれば、数年にも渡って体内に潜伏し、突如ガンなどの重大な症状を引き起こす超猛毒、アスベスト。特にアスベストが含まれている建造物を取り壊すときなどは、微小なアスベスト繊維が大量に発生し、非常に危険な環境が出来上がってしまいます。

ですがもちろん、工事をするわけですから現場から立ち去るわけにもいきません。そんな状況から身を守り、円滑に工事を進めるために装着するのが、マスクや作業着などの保護具です。

しかし、保護具と一概に言ったところで、その中にもピンからキリまでさまざまな種類の保護具があります。ということで今回は、その保護具の中でも一番ポピュラーな防塵マスクについて、詳細を見ていくことにしましょう。

マスクにもいろいろな種類がある

マスクという言葉を聞いて、まず真っ先に想像するものはなんでしょうか?

急にどうしたんですか?!私は風邪かな?と想像しますね。

そうですね、きっと大多数の人が風邪を引いたときに着けるような、白い使い捨てマスクを想像するのではないかと思います。

はい。マスクがどうかしたんですか?

今日は、マスクとアスベストについてお話していこうかと思いまして。

なるほど!宜しくお願いします。

もう助手さんはすでに知っていると思いますが、アスベストは体内に入るとかなりひどい症状を引き起こす猛毒ですよね。ですので、吸引しないようにマスクが必要となるのですが、先ほどのお話にもあがったような一般的なマスクでは到底役に立ちません。

えっ!そうなんですか?!どんなマスクなら安全なんですか?

一般的なマスクより、もっと密閉性の高い、見た目としてはガスマスクのようなものを主に用いる、ということは想像できるでしょうか?その中でも、密閉性が高いもの低いもの、さまざまなものが存在します。これらのマスクは、それぞれ密閉性の高さや防塵の仕組みによって、4段階のレベルに分類されているんです。アスベストのレベルによって使い分ける必要があります。ということで、各レベルのマスクについてご紹介していきましょう。

呼吸用保護具の区分1

まず初めにご紹介するのは、レベル1アスベスト含有建材などを除去する際に用いる、呼吸用保護具区分1の防護マスクです。この分類には、主に電気の力を用いて防塵を行う、非常に密閉性の高いマスクが分類されており、大きく3つのグループに分けられます。

1つのレベルからさらに分類されるんですね。マスクなのに複雑です…。

1つ目のグループは、自給式呼吸器と呼ばれるものです。これはスキューバダイビングのような酸素ボンベを背負って工事を行うスタイルのもので、マスクを介して空気を取り込むことはありません。圧縮酸素形循環式呼吸器などがここには含まれます。

あれを背負って作業するだなんて、かなり大変ですね。でも、それだけ危険ってことですよね。

2つ目のグループは、送気マスクというものです。これは外部に設置されたろ過装置からチューブを介して酸素を供給するもので、こちらもマスクを介して空気を取り込む必要はありません。フレッシャデマンド形、一定流量形エアラインマスクなどが含まれます。

ろ過装置がついていることで、きれいな酸素が取り込める仕組みなんですね。

3つ目のグループは、電動ファン付き呼吸用保護具と呼ばれるものです。これは呼吸に合わせてファンの回転を調整し、マスク内部を陽圧にしておくことで粉塵の流入を防ぐタイプのマスクで、その手軽さから、一番幅広く用いられている区分1のマスクなのだとか。

すごい…!呼吸に合わせてくれるマスクだと、作業も快適にできそう!

呼吸用保護具の区分2

次にご紹介するのは、区分2のマスクです。区分2には、粒子捕集効率99.9%以上の全面形取替え式防塵マスクが分類されており、全て所定の国家検定に合格していなければなりません。全面形取替え式防塵マスクは、目の保護をするゴーグルの部位までを含み、顔全体を覆ってくれるタイプの防塵マスクです。

映画でもよくみかけるタイプのマスクですね。

また、この防塵マスクは使い捨てタイプではなく、中のフィルタを交換することで繰り返し使えるタイプでなければなりません。それに、ひとつしか空気口が無いとフィルタが目詰まりした際に大変危険な状態となるため、たいていのマスクは広い空気口を確保してあるか、二つ以上の空気口がある場合がほとんどです。

呼吸用保護具の区分3

区分3のマスクは一般的なマスクに形が近そうですね。

少し近い、が正解ですね。区分3には、区分2のマスクからゴーグルの部位を外して口元のみを覆った状態の半面形取替え式防塵マスクが分類されています。もちろん、こちらも所定の国家検定に合格していなければなりません。こちらの区分のマスクも粒子捕集効率は99.9%以上でなければならないため、下の区分とはいえとても厳密な防塵性を持っていると言えるでしょう。

呼吸用保護具の区分4

一方、この区分4ともなると、若干防塵性が下がってきます。区分4には、主に口周りのみを覆った取替え式防塵マスクが分類されており、粒子捕集効率は95%以上と、~区分3までと比べると若干見劣りがしますね(それでもかなりの密閉性ではありますが)。

この区分のマスクも国家検定に合格したものなんですか?

そのとおりです。こちらも、若干ハードルは低くなるもののきちんとした国家検定に合格したものでなければなりません。また、区分4のマスクを使って出来る施工は非常に限られているため、結果的には区分3以上のマスクを用いたほうが効率的な場合もあるでしょう。

マスクとひとことで言ってもさまざまな種類があるんですね。とくに危険なアスベストの除去作業を行う際の防塵マスクについては慎重に選ばないといけませんね。

そうですね。これらの区分のマスクは、それぞれアスベストのレベルや施工内容に応じて使えるものと使えないものが定められています。この区分けは非常に複雑なため今回は省略しましたが、実際に施工する際には厚生労働省のホームページなどから法令を確認してみて下さいね。きっちりとどの保護具を使えばいいのか理解して、安全な施工を心がけましょう。

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