目次
サービス概要
- 調査対象の建物にお伺いし、素材のサンプルを採取します。
- 専門の調査機関にて、採取したサンプルを分析します。
- 分析結果をもとに、建物のアスベスト対策をご提案します。
こんな場合もお気軽にお問い合わせください
- 建物のどこにアスベストが含まれているかわからない。
- アスベストを含む建材が使用されているようだが、すぐに対策するべきか判断できない。
- 以前行ったアスベスト調査から何年か経過したため、現在の状態を知りたい。
ひそかに眠るアスベストの危険性
1980年代までを中心に、マンションやアパートなどで広く用いられていたアスベスト。現在ではその使用・製造は規制されていますが、既存の建造物には今なおアスベストがひそかに眠っていることも多いのです。
そして現在、築年数が相当経過しているような古い建造物に対して、アスベストが使われているのかどうか、アスベストが使われているとしてどの程度アスベストを含んでいるのか、などといった、アスベストの使用状況を調査したいという需要が急激に高まっています。
とはいえ、いざアスベスト調査を行おうと考えると、どのような流れで調査を行うのか、具体的に何をすればいいのか、費用はどの程度かかるのか……など、分からないことが多いものです。
そこでこのページでは、アスベスト調査の気になるポイントを詳しくご説明します。
アスベスト調査の種類と流れ
アスベスト調査を詳しくみていくと、「事前調査」と「分析調査」に分けられます。こうした調査は、調査を担当する機関や調査対象となる建物の状況によっても異なりますが、一般的なケースにおける事前調査と分析調査の調査内容や流れについて、それぞれご紹介します。
調査方法その①事前調査
「事前調査」とは、調査対象となる建物の図面を確認したり、現地を目視で確認したりすることで、アスベストの使用状況を確認するものです。事前調査でアスベストの使用可能性の見当をある程度つけることで、次に実施する分析調査の精度を高めることができます。
事前調査では、まず「図面調査」を実施します。これは、調査対象となる建物の設計図書(建築工事の施工時に作成された図面や仕様書などの書類)から使用された建材を調べ、その建材にアスベストが含まれているかどうかを確認するというものです。
ただし、設計図書ですべての建材が確認できるとは限りませんし、建材が判明してもアスベストの含有状況は不明ということもあります。建築後改修が行われた建物では、建材の記録が残っていないことも。こうしたことから、図面調査ではすべてのアスベスト含有状況を確認できるわけではありません。
次に行うのが「現地調査」です。現地調査では調査機関の担当者が建物を訪問し、目視によってアスベストの使用状況を調査します。
住宅などの建物では、天井や柱、壁などにアスベストを含む建材が使われていることが多いとされています。そうした部分を中心に専門家が調査し、使用建材を確認しながらアスベストの使用状況をチェックしていくのです。現地調査も図面調査と同様、すべてのアスベスト使用状況を確認できるとは限りません。
調査方法その②分析調査
「分析調査」とは、事前調査での見当をもとにアスベストが使用されている可能性のある建材をサンプル(検体)として採取し、そのサンプルの成分分析を行うことで、アスベストの使用状況を精緻に確認するというものです。
分析調査を行うにあたっては、サンプルの採取が必要です。サンプル採取は、依頼者が採取して調査機関に送る場合と、調査機関の担当者が採取も行う場合があります。
依頼者自身がサンプルを採取する場合は、建造物内でアスベストが使用されている可能性のある部分から、カッターやノコギリなどを使って建材を数センチ角切り出します。建造物内の空気を採取してサンプルとし、空気中のアスベスト粉塵濃度を測定してくれる調査機関もありますので、詳しくは問い合わせましょう。
サンプルを採取する際には、アスベストが飛散して健康被害を受ける恐れもあるため、切り出す部分を湿潤化してアスベストの飛散を防止したりマスク等を着用したりするなどの対策をとったうえで採取する必要があります。採取したサンプルは、漏れないよう慎重にビニール袋などに梱包・密閉して調査機関へ送付します。
アスベストの成分分析には、アスベストの使用有無を確認する「定性分析」と、アスベストの含有率を測る「定量分析」があります。まず、アスベストが使用されているかどうかを調べるために定性分析を実施。そこでアスベストが使われていることが判明したら、アスベストの含有率を確認する定量分析を実施することになります。
すべての調査が終わったら、調査機関から報告書が提出されます。報告書の隅々まで目を通し、アスベストの除去工事や解体工事の必要性などを検討しましょう。
アスベスト調査のメリット
アスベスト調査を実施する最大のメリットは、アスベストの使用状況を知ることで被害を防ぎ安全を守ることができるという点にあります。アスベスト調査を実施した結果、アスベストが使われていないとわかれば、建物を使うとしても解体するとしても安心して進めることができるでしょう。反対にアスベストの使用が判明した場合、その危険性に対して最適な対策をとることで被害を未然に防ぐことができます。
建物を売却する、あるいは賃貸に出す場合、アスベストの使用状況を調査しているということは信頼につながり、買い手や借り手を探しやすくなるでしょう。資産価値に影響するのがこわいからとアスベスト調査を実施せず、あとからアスベストの使用が判明するようなことがあれば、トラブルにもつながりかねません。
そして、建物を解体する場合には、アスベスト調査が法律で義務づけられています。アスベストが含まれる建物の解体工事ではアスベストの被害リスクが非常に高まるため、安全に工事を行うことを目的にアスベストの使用状況を確認しておく必要があるからです。アスベスト調査を実施しておけば、いざ解体工事を行うとなってもあわてることがありません。
アスベスト調査にかかる費用の相場
このようなメリットのあるアスベスト調査ですが、調査の実施は有料です。そこで、アスベスト調査の費用相場をみてみると、分析調査の場合で3万円から5万円程度です。
さらに、調査項目ごとの平均価格をみていくと、事前調査は図面調査・現地調査それぞれ3万円前後、分析調査では定性分析のみの場合3万円から5万円強、定性分析と定量分析を行う場合は5万円から7万円ほどとされています。
同じ分析調査を行うのでも、多くのサンプル数に対して成分分析を行うとなればそれだけ費用が加算されますし、定性分析のみで終わるか定量分析も必要となるかによっても費用が変わります。そのほか、事前調査を実施するか、サンプル採取を依頼するかどうか、報告書を何部用意するかなどによっても調査費用は大きく変わってくることになります。
調査費用の料金体系自体も、調査機関によってさまざまです。アスベスト調査を依頼する際にはいろいろな調査機関に見積もりを依頼するなどして、比較検討するといいでしょう。
調査を依頼する専門機関を探す際のポイント
アスベスト調査を実施するには、アスベストに関する専門知識やアスベストを適切に扱う技術が必要であり、建物の所有者などの一般的な個人が行うことはできません。アスベスト調査が必要となったら、信頼できる調査機関を探し、専門家に依頼しましょう。
アスベスト調査を請け負う機関にはさまざまなところがありますが、調査を実施する体制や調査手順の整備、調査結果の精度や料金設定などは調査機関によって多種多様です。そのなかで、「適切な技術を有している」と判断するための一定の目安になるのが、担当者の資格の保有です。
アスベストの分析調査や粉塵濃度の測定を実施するためには、公益社団法人日本作業環境測定協会が実施する「石綿分析技術の評価事業(石綿分析に係るクロスチェック事業)」でのAランクまたはBランク認定や、国土交通省が付与する「建築物石綿含有建材調査者」の資格取得が必要とされています。
調査機関としての信頼性をはかるには、厚生労働大臣または都道府県労働局長による「作業環境測定機関」の登録や、これまでの調査実績、特に公的機関に提出した調査報告書の実績などが参考になるでしょう。調査の依頼に際して料金がわかりやすく提示されていることも重要です。
過去に調査を行ったことがあっても要注意
建物の解体工事を行う場合などには、アスベストの含有比率などに一定の基準値が設けられています。過去にアスベスト調査を行い基準値をクリアしたことがある建造物でも、その後基準値が変更されていたために現時点では基準値をオーバーしているというケースもありますので、油断は禁物です。
さらに、アスベストの種類によっては、過去には全く規制を受けていなかったものが後々規制対象になったというケースも存在しますので、その点に関しても留意が必要です。
したがって、過去にアスベスト調査を行った建物であっても、その時期や状況によっては安心できません。アスベストの使用・含有状況について少しでも気になる建造物があれば、再度アスベスト調査を行うほうが安心です。
おわりに
今回は、アスベスト調査について詳しくご説明してまいりました。アスベスト調査には、決して少なくない額の調査費用がかかってしまいますが、健康被害を未然に防ぎ安全を守るためには、アスベスト調査は必要なものです。
費用や調査内容はもちろん、調査機関の過去の評判や担当者の応対なども参考にしながら、信頼できる調査機関を選んで正確なアスベスト調査を行えるよう、検討していきましょう。